最近、よく耳にする単語に「すずめ」があります。NHK朝ドラ「半分、青い」の効果でしょうか。

病院勤務時代には、絶対に観ることの出来なかった朝ドラですが、毎日の定時の通勤時間がなくなった現在、8時に家にいてテレビがついていれば、つい観てしまいます。
ヒロインを演ずる永野芽郁さんが「鈴愛(すずめ)」の役にピッタリで、思わず引き込まれてしまいました。

 

歳のせいか、早く寝た次の日など、日の出とともに目が覚める時があります。
鳥のさえずりが聞こえてくると、やがてカーテンの向こうが15分くらいで明るくなります。
不眠症の患者さんの話では、鳥が鳴き始めるのは、季節に関係なく決まって日の出の25分前とのこと。
眠れない夜に開き直って、時間を測ってみたとのことでした。

多摩川に近く、屋敷林の多いこの地では、いろいろな鳥がいます。季節でも差はありますが、やっぱり、スズメが代表格です。
都会ではスズメの生息数が、70年代と比べて半減してしまったとのこと。
昔ながらの日本家屋が減って巣を作りにくくなったとか、米の収穫の効率化や減反が原因だとか、諸説あるようですが、確かに以前よりは見かけることが減りました。

 

スズメには、幼少の頃の思い出があります。
何故か親父が柄にもなく鳥が好きで、紅スズメをつがいで飼っていました。
ある雨の日、庭に出ると、片隅で雨に濡れたスズメが飛べなくなっていました。
このままでは猫に食べられてしまうと思って、親父とともに連れて帰って、紅スズメのケージに入れました。
同じスズメの仲間なんだから大丈夫と思って。
ケージはひとつしかなかったし。

でも、だめでした。
次の日、朝起きてケージを見ると、スズメは死んでいました。
体にはたくさんの傷がありました。2羽の紅スズメが攻撃したのは明らかでした。
かわいそうなことをしたと思い、雨の降る中、庭の木の下に埋めました。木の枝で、小さな墓標も立てました。

雨上がりのさらに次の日、青空の下、驚くべき光景を目にしました。
庭の木にたくさんのスズメが留まっていました。
垣根の向こうの電線にも、スズメが鈴なりに。
皆がチュンチュン鳴いていて、近所の人も道に出て来て見上げていました。

雨に濡れて行方不明になった仲間、あるいは家族を探しに来たのでしょうか。
子供心に、仲間と家族を思うスズメの心に感動しながらも、ヒッチコックの映画「鳥」みたいに復讐されないかと心配になりました。

 

スズメは弱い鳥です。カラスなど大型の鳥に捕食されることも多いと聞きます。
だから群れをつくって行動するそうですが、たった1羽がいなくなっただけで集団で探しにくるものなのでしょうか。

10年程前の名著、「もの思う鳥たち」によると、鳥類は脳の構造が哺乳類とは違っていて、どうやら心と呼べるものがあるらしいのです。
愛情や友情までも。そして、遊ぶこともあると。

昔、新聞の写真付き記事で読んだことがあります。
「カラスがゴルフボールを高い所からコンクリートの堅い地面に落として跳ね返らせることを延々と続けている。
卵と勘違いして割ろうとしていることも考えられるが、卵とゴルフボールの区別はつくだろうし、割れなければ諦めるはず。にもかかわらず、やめようとしない。
まるで、跳ね返るのが面白いと感じているとしか思えない行動だ。」と。

 

人間以外の動物は言語を持たないし、心や感情は定義すら曖昧で、数値化しにくいから測定や調査は難しいけれども、私達が日常的に接するペットなどでは心を感じる場面は多々あります。
日本テレビの志村どうぶつ園には、動物と話せる女性、ハイジが出てきます。
それについては、ネット上ではいろいろな憶測がありますが、科学的に否定できない限り、鳥や動物に、心や感情があるのは真実のような気がします。

 

さて、ハーバリスト、植物療法士としては植物にも思いを馳せます。
作曲家の神津善行さんは、著書「植物と話がしたい 自然と音の不思議な世界」の中で、生体電位を測定する方法で研究を続け、音楽家の視点から植物の心の存在を世に問いかけています。

植物にも心、感情はあるのでしょうか。

長く書きました。この考察は、次の機会に。