桜の花も満開を過ぎて、少し緑が混じり始めました。
木々の枝にも、若葉が萌え、日ごとに緑が濃くなってきます。

地面に目を向けると、オオイヌノフグリの横にタンポポが生えていました。
いつ、出てきたんでしょうか。都市のリズムで生活していると、見落としてしまいそうです。

 

 

 

 

 

 

子供の頃から馴染み深いタンポポ。ありふれた雑草ですが、ダンディライオンと呼ばれるハーブです。

ハーブとしては、なかなかの切れ者で、古くから、世界各地で使われてきました。

 

 

 

 

 

 

 

根には、多糖類のイヌリンや、苦味質のタラキサシンなど多くの機能性をしめす成分が含まれています。
イヌリンは善玉腸内細菌を増やして、腸内環境を改善します。イヌリン量は、植物が栄養を蓄える秋に増えるので、収穫も秋に行うと良いです。
タラキサシンは胆汁の分泌をうながして肝臓や胆嚢の不調に働きかけます。
また、苦味が胃腸の運動をうながし、食欲をアップします。

その機能性のため、胆石のような胆道が閉塞している場合や、腸閉塞、胃酸過多には使用してはなりません。

漢方では蒲公英根と呼ばれ、健胃、利胆、解熱、強壮などの目的で使われます。
民間では毒消しや、妊婦さんのお乳の出が良くない時などにも使われました。

人類の経験則は偉大です。科学的にも裏付けされていますから。

根をローストして、ノンカフェインのコーヒーとして飲まれます。チコリ根とブレンドすると風味が増します。
きんぴらにして食べても美味しいです。

 

 

 

 

 

 

 

葉もハーブとして使われます。
カリウムを豊富に含み、利尿を目的に使われます。

若葉で柔らかいうちは、サラダにして食することができます。
根と同じく苦味質が含まれているので、西洋タンポポは苦味が強いですが、日本タンポポは比較的苦味が少ないです。

葉はカリウムが多いので、透析をしている人、腎臓の良くない方は控えてください。

ダンディライオンはキク科植物なので、キクにアレルギーがある方は避けてください。まれに、いらっしゃいますので。

 

穏やかな季節に咲くタンポポは、人の心に歌いかけるのでしょうか。川端康成やレイ・ブラッドベリの小説の題名にもなっています。

金子みすゞの詩「星とたんぽぽ」にも歌われています。

心に響く一節。

昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。

つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。